入札方式の違いと使い分け

同じ「入札」でも方式によって勝ち方が全然ちがうよ。当サイトに入っている国312,567件・自治体249,521件の落札データで、実際にどの方式がどれだけ使われているかも一緒に見てね!

公告を見て最初に確認するのは金額ではなく方式です。方式が決まれば、勝負どころが価格なのか、提案なのか、そもそも指名されるかどうかなのかが決まります。ここでは6つの方式について、制度上の説明だけでなく、当サイトが収録している実際の落札データでどれだけ使われているかを並べます。

一般競争入札

公告により参加を広く募り、資格を満たす者は誰でも応札できる方式です。落札者は原則として最低価格の応札者になります。ただし予定価格の一定割合を下回ると失格になる最低制限価格や、極端な低価格に調査が入る低入札価格調査制度が設けられていることが多く、「安ければ勝てる」わけではありません。実務では、失格ラインのすぐ上にどれだけ精度よく置けるかが勝敗を分けます。

収録データでの採用状況: 国の入札で295,348件(94%) / 自治体の入札で77,457件(31%) / 自治体の平均落札率 90.3%(予定価格が公表された3,959件)

指名競争入札

発注機関があらかじめ選んだ事業者だけが参加できる方式です。指名を受けるには、その機関の入札参加資格者名簿への登録と、過去の履行実績が前提になります。新規に参入したい場合は、まず資格登録と小規模案件での実績づくりから入るのが順路です。

収録データでの採用状況: 国の入札で87件(0%) / 自治体の入札で93,194件(37%) / 自治体の平均落札率 91.6%(予定価格が公表された5,648件)

総合評価方式

価格だけでなく、技術提案・配置予定技術者の資格・過去の履行成績などを点数化し、価格点と合計して落札者を決める方式です。価格を下げても技術点で劣れば逆転されるため、提案書の作り込みが直接に結果へ効きます。逆にいえば、価格競争一辺倒の消耗戦を避けたい事業者にとっては狙い目の方式でもあります。

収録データでの採用状況: 国の入札で43,372件(14%) / 自治体の入札で9,037件(4%) / 自治体の平均落札率 91.2%(予定価格が公表された27件)

公募型プロポーザル・企画競争

価格ではなく企画提案の内容で受託者を選ぶ方式です。調査・計画策定・広報制作・システム企画などで多く使われます。価格勝負にならない一方、提案書の作成に相応の工数がかかるため、勝率の見込める案件を選ぶ目利きが要ります。

収録データでの採用状況: 国の入札で720件(0%)

随意契約

競争入札によらず、発注機関が特定の相手と直接契約する方式です。仕様の特殊性、緊急性、少額であることなどが理由になります。継続的に随意契約が続いている契約は、現在の受託者に技術的・実務的な優位があることが多く、新規参入のハードルは高めです。ただし、方式が競争入札に切り替わる年もあるため、公告の確認は続ける価値があります。

収録データでの採用状況: 国の入札で17,113件(5%) / 自治体の入札で7,823件(3%) / 自治体の平均落札率 96.8%(予定価格が公表された86件)

オープンカウンタ(見積合わせ)

少額の物品・役務で使われる簡易な方式で、見積書の提出により最安値の事業者が受注します。金額は小さいものの、機関との取引実績を作る入口として使えます。

収録データでの採用状況: 国の入札で15,294件(5%) / 自治体の平均落札率 85.2%(予定価格が公表された38件)

落札率から読めること

落札率は、予定価格に対して落札額が何%だったかです。100%に近いほど値引き競争が起きておらず、低いほど価格勝負が激しかったことを意味します。方式ごとに平均を並べると、どの土俵が価格勝負になりやすいかが見えます。予定価格を公表している自治体の実績で比べたのが上の数字です。

ただし落札率は業務の性質にも左右されます。仕様が固まっている物品購入は下がりやすく、技術者の稼働が読みにくい業務は下がりにくい。方式だけで判断せず、同じ分野・同じ規模帯の実績とあわせて見てください。分野別の相場は落札相場データベースに、発注機関ごとの傾向は各機関のページにまとめています。

収録データでの方式の内訳

国の機関(312,567件)

入札方式件数割合
一般競争入札・最低価格250,57880.2%
一般競争入札・総合評価43,37213.9%
随意契約方式・オープンカウンタ・少額11,1403.6%
随意契約方式・オープンカウンタ4,1541.3%
一般競争入札・最高価格1,3440.4%
随意契約方式・特定業者7700.2%
随意契約方式・公募型プロポーザル方式7200.2%
随意契約方式・複数業者・少額1980.1%
指名競争入札・最低価格870%
随意契約方式・複数業者810%
一般競争入札・複数落札540%
随意契約方式・特定業者・少額500%

自治体(249,521件)

入札方式件数割合平均落札率
指名競争45,78018.3%
一般競争44,21417.7%
指名競争入札28,00211.2%91.8%
通常型指名競争入札19,4127.8%89.3%
条件付一般競争入札12,5065%
総合評価9,0373.6%
随意契約7,8233.1%96.8%
一般競争入札(標準型)7,7903.1%89.4%
一般競争入札7,1902.9%92.9%
受注希望6,8692.8%
事後審査6,5212.6%
一般競争入札(入札後資格確認型)5,7572.3%

機関によって方式の選び方は違う

同じ物品購入でも、機関によって最低価格方式が中心のところと総合評価を多用するところがあります。機関ごとの方式構成を知っておくと、公告を見る前から勝負どころの見当がつきます。件数の多い機関から順に、最も多い方式とその割合を並べます。

機関件数最も多い方式割合
国土交通省83,253一般競争入札・最低価格87%
厚生労働省33,804一般競争入札・最低価格85%
法務省23,698一般競争入札・最低価格93%
国税庁22,288一般競争入札・最低価格91%
林野庁18,170一般競争入札・最低価格73%
財務省16,476一般競争入札・最低価格88%
環境省16,468一般競争入札・最低価格55%
海上保安庁15,709一般競争入札・最低価格96%
防衛省11,738一般競争入札・最低価格91%
経済産業省9,816一般競争入札・総合評価55%
総務省9,312一般競争入札・最低価格61%
農林水産省8,451一般競争入札・最低価格56%
内閣府8,371一般競争入札・最低価格62%
検察庁5,697一般競争入札・最低価格93%
警察庁4,380一般競争入札・最低価格55%
最高裁判所3,553一般競争入札・最低価格78%
気象庁3,546一般競争入札・最低価格97%
外務省2,160一般競争入札・最低価格94%
内閣官房2,154一般競争入札・最低価格56%
文部科学省2,138一般競争入札・最低価格91%

都道府県によっても違う

自治体は指名競争入札を残しているところと、一般競争入札にほぼ切り替えたところに分かれます。指名競争が多い県では、まず指名される側に入る(参加資格の登録と実績づくり)ことが先で、価格の工夫はその後になります。収録のある県ごとに、最も多い方式と平均落札率を並べます。

都道府県件数最も多い方式割合平均落札率
静岡県24,218一般競争52%
秋田県23,939一般競争89%
長野県21,564総合評価42%
愛媛県20,765指名競争70%
佐賀県16,478条件付一般競争入札43%
千葉県15,137指名競争40%
石川県11,896指名競争67%
新潟県11,633通常型指名競争入札62%
神奈川県9,729一般競争入札(標準型)80%89.6%
宮城県9,593入札・見積合せ(電子)46%
宮崎県8,434指名競争入札39%
山口県7,798条件付き一般競争入札45%
岩手県7,453一般競争入札31%
滋賀県7,431事後審査型一般競争入札50%
三重県7,316事後審査型条件付一般競争入札27%
栃木県7,026指名競争66%
埼玉県5,582指名競争入札62%
福岡県5,144通常型指名競争入札62%
群馬県5,142指名競争入札76%92%
沖縄県3,723一般競争(事後)31%
長崎県3,614指名競争入札・見積合せ42%
大分県3,201指名競争入札49%
青森県3,156条件付き一般競争入札44%
岡山県2,812指名競争入札73%91.3%
京都府2,108通常型指名競争入札42%
山形県1,505通常型指名競争入札50%
福島県1,333制限付一般競争入札(事後審査型)58%
和歌山県998条件付一般競争入札38%
鳥取県793指名競争入札73%

方式が切り替わる契約に注意する

同じ契約でも、年によって随意契約から一般競争入札に変わる、あるいは一般競争から総合評価に変わることがあります。方式が変わった年は、現職の優位が一度リセットされる年でもあります。継続契約のページでは、年ごとの方式を落札履歴の表に載せているので、変わり目を見つけたらその契約の次回公告を追う価値があります。

方式の名称は発注機関の表記をそのまま用いています。同じ制度でも機関によって呼び方が異なる場合があります。方式は公告ごとに変わりうるため、応札前に必ず公告本文でご確認ください。

→ 入札の基礎知識の一覧→ 都道府県別の入札参加資格の取り方→ 継続契約データベース

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