入札方式の違いと使い分け
公告を見て最初に確認するのは金額ではなく方式です。方式が決まれば、勝負どころが価格なのか、提案なのか、そもそも指名されるかどうかなのかが決まります。ここでは6つの方式について、制度上の説明だけでなく、当サイトが収録している実際の落札データでどれだけ使われているかを並べます。
一般競争入札
公告により参加を広く募り、資格を満たす者は誰でも応札できる方式です。落札者は原則として最低価格の応札者になります。ただし予定価格の一定割合を下回ると失格になる最低制限価格や、極端な低価格に調査が入る低入札価格調査制度が設けられていることが多く、「安ければ勝てる」わけではありません。実務では、失格ラインのすぐ上にどれだけ精度よく置けるかが勝敗を分けます。
指名競争入札
発注機関があらかじめ選んだ事業者だけが参加できる方式です。指名を受けるには、その機関の入札参加資格者名簿への登録と、過去の履行実績が前提になります。新規に参入したい場合は、まず資格登録と小規模案件での実績づくりから入るのが順路です。
総合評価方式
価格だけでなく、技術提案・配置予定技術者の資格・過去の履行成績などを点数化し、価格点と合計して落札者を決める方式です。価格を下げても技術点で劣れば逆転されるため、提案書の作り込みが直接に結果へ効きます。逆にいえば、価格競争一辺倒の消耗戦を避けたい事業者にとっては狙い目の方式でもあります。
公募型プロポーザル・企画競争
価格ではなく企画提案の内容で受託者を選ぶ方式です。調査・計画策定・広報制作・システム企画などで多く使われます。価格勝負にならない一方、提案書の作成に相応の工数がかかるため、勝率の見込める案件を選ぶ目利きが要ります。
随意契約
競争入札によらず、発注機関が特定の相手と直接契約する方式です。仕様の特殊性、緊急性、少額であることなどが理由になります。継続的に随意契約が続いている契約は、現在の受託者に技術的・実務的な優位があることが多く、新規参入のハードルは高めです。ただし、方式が競争入札に切り替わる年もあるため、公告の確認は続ける価値があります。
オープンカウンタ(見積合わせ)
少額の物品・役務で使われる簡易な方式で、見積書の提出により最安値の事業者が受注します。金額は小さいものの、機関との取引実績を作る入口として使えます。
落札率から読めること
落札率は、予定価格に対して落札額が何%だったかです。100%に近いほど値引き競争が起きておらず、低いほど価格勝負が激しかったことを意味します。方式ごとに平均を並べると、どの土俵が価格勝負になりやすいかが見えます。予定価格を公表している自治体の実績で比べたのが上の数字です。
ただし落札率は業務の性質にも左右されます。仕様が固まっている物品購入は下がりやすく、技術者の稼働が読みにくい業務は下がりにくい。方式だけで判断せず、同じ分野・同じ規模帯の実績とあわせて見てください。分野別の相場は落札相場データベースに、発注機関ごとの傾向は各機関のページにまとめています。
収録データでの方式の内訳
国の機関(312,567件)
| 入札方式 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 一般競争入札・最低価格 | 250,578 | 80.2% |
| 一般競争入札・総合評価 | 43,372 | 13.9% |
| 随意契約方式・オープンカウンタ・少額 | 11,140 | 3.6% |
| 随意契約方式・オープンカウンタ | 4,154 | 1.3% |
| 一般競争入札・最高価格 | 1,344 | 0.4% |
| 随意契約方式・特定業者 | 770 | 0.2% |
| 随意契約方式・公募型プロポーザル方式 | 720 | 0.2% |
| 随意契約方式・複数業者・少額 | 198 | 0.1% |
| 指名競争入札・最低価格 | 87 | 0% |
| 随意契約方式・複数業者 | 81 | 0% |
| 一般競争入札・複数落札 | 54 | 0% |
| 随意契約方式・特定業者・少額 | 50 | 0% |
自治体(249,521件)
| 入札方式 | 件数 | 割合 | 平均落札率 |
|---|---|---|---|
| 指名競争 | 45,780 | 18.3% | — |
| 一般競争 | 44,214 | 17.7% | — |
| 指名競争入札 | 28,002 | 11.2% | 91.8% |
| 通常型指名競争入札 | 19,412 | 7.8% | 89.3% |
| 条件付一般競争入札 | 12,506 | 5% | — |
| 総合評価 | 9,037 | 3.6% | — |
| 随意契約 | 7,823 | 3.1% | 96.8% |
| 一般競争入札(標準型) | 7,790 | 3.1% | 89.4% |
| 一般競争入札 | 7,190 | 2.9% | 92.9% |
| 受注希望 | 6,869 | 2.8% | — |
| 事後審査 | 6,521 | 2.6% | — |
| 一般競争入札(入札後資格確認型) | 5,757 | 2.3% | — |
機関によって方式の選び方は違う
同じ物品購入でも、機関によって最低価格方式が中心のところと総合評価を多用するところがあります。機関ごとの方式構成を知っておくと、公告を見る前から勝負どころの見当がつきます。件数の多い機関から順に、最も多い方式とその割合を並べます。
| 機関 | 件数 | 最も多い方式 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 国土交通省 | 83,253 | 一般競争入札・最低価格 | 87% |
| 厚生労働省 | 33,804 | 一般競争入札・最低価格 | 85% |
| 法務省 | 23,698 | 一般競争入札・最低価格 | 93% |
| 国税庁 | 22,288 | 一般競争入札・最低価格 | 91% |
| 林野庁 | 18,170 | 一般競争入札・最低価格 | 73% |
| 財務省 | 16,476 | 一般競争入札・最低価格 | 88% |
| 環境省 | 16,468 | 一般競争入札・最低価格 | 55% |
| 海上保安庁 | 15,709 | 一般競争入札・最低価格 | 96% |
| 防衛省 | 11,738 | 一般競争入札・最低価格 | 91% |
| 経済産業省 | 9,816 | 一般競争入札・総合評価 | 55% |
| 総務省 | 9,312 | 一般競争入札・最低価格 | 61% |
| 農林水産省 | 8,451 | 一般競争入札・最低価格 | 56% |
| 内閣府 | 8,371 | 一般競争入札・最低価格 | 62% |
| 検察庁 | 5,697 | 一般競争入札・最低価格 | 93% |
| 警察庁 | 4,380 | 一般競争入札・最低価格 | 55% |
| 最高裁判所 | 3,553 | 一般競争入札・最低価格 | 78% |
| 気象庁 | 3,546 | 一般競争入札・最低価格 | 97% |
| 外務省 | 2,160 | 一般競争入札・最低価格 | 94% |
| 内閣官房 | 2,154 | 一般競争入札・最低価格 | 56% |
| 文部科学省 | 2,138 | 一般競争入札・最低価格 | 91% |
都道府県によっても違う
自治体は指名競争入札を残しているところと、一般競争入札にほぼ切り替えたところに分かれます。指名競争が多い県では、まず指名される側に入る(参加資格の登録と実績づくり)ことが先で、価格の工夫はその後になります。収録のある県ごとに、最も多い方式と平均落札率を並べます。
| 都道府県 | 件数 | 最も多い方式 | 割合 | 平均落札率 |
|---|---|---|---|---|
| 静岡県 | 24,218 | 一般競争 | 52% | — |
| 秋田県 | 23,939 | 一般競争 | 89% | — |
| 長野県 | 21,564 | 総合評価 | 42% | — |
| 愛媛県 | 20,765 | 指名競争 | 70% | — |
| 佐賀県 | 16,478 | 条件付一般競争入札 | 43% | — |
| 千葉県 | 15,137 | 指名競争 | 40% | — |
| 石川県 | 11,896 | 指名競争 | 67% | — |
| 新潟県 | 11,633 | 通常型指名競争入札 | 62% | — |
| 神奈川県 | 9,729 | 一般競争入札(標準型) | 80% | 89.6% |
| 宮城県 | 9,593 | 入札・見積合せ(電子) | 46% | — |
| 宮崎県 | 8,434 | 指名競争入札 | 39% | — |
| 山口県 | 7,798 | 条件付き一般競争入札 | 45% | — |
| 岩手県 | 7,453 | 一般競争入札 | 31% | — |
| 滋賀県 | 7,431 | 事後審査型一般競争入札 | 50% | — |
| 三重県 | 7,316 | 事後審査型条件付一般競争入札 | 27% | — |
| 栃木県 | 7,026 | 指名競争 | 66% | — |
| 埼玉県 | 5,582 | 指名競争入札 | 62% | — |
| 福岡県 | 5,144 | 通常型指名競争入札 | 62% | — |
| 群馬県 | 5,142 | 指名競争入札 | 76% | 92% |
| 沖縄県 | 3,723 | 一般競争(事後) | 31% | — |
| 長崎県 | 3,614 | 指名競争入札・見積合せ | 42% | — |
| 大分県 | 3,201 | 指名競争入札 | 49% | — |
| 青森県 | 3,156 | 条件付き一般競争入札 | 44% | — |
| 岡山県 | 2,812 | 指名競争入札 | 73% | 91.3% |
| 京都府 | 2,108 | 通常型指名競争入札 | 42% | — |
| 山形県 | 1,505 | 通常型指名競争入札 | 50% | — |
| 福島県 | 1,333 | 制限付一般競争入札(事後審査型) | 58% | — |
| 和歌山県 | 998 | 条件付一般競争入札 | 38% | — |
| 鳥取県 | 793 | 指名競争入札 | 73% | — |
方式が切り替わる契約に注意する
同じ契約でも、年によって随意契約から一般競争入札に変わる、あるいは一般競争から総合評価に変わることがあります。方式が変わった年は、現職の優位が一度リセットされる年でもあります。継続契約のページでは、年ごとの方式を落札履歴の表に載せているので、変わり目を見つけたらその契約の次回公告を追う価値があります。
→ 入札の基礎知識の一覧 / → 都道府県別の入札参加資格の取り方 / → 継続契約データベース
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